「国の政策に逆行する部分もある。でも町のため、協力をおねがいしたい。企業も、環境を守りたいと思っているんです」
7月、熊本県菊陽町の農協支所に集まった20人あまりの農家を前に、同町の山川和徳産業振興部長が頭を下げた。
ホワイトボードに図を描きながら説明したのは、地元の農家がつくるコメの一部に、1俵あたり約5千円を補助する政策だ。
町には世界最大の半導体受託製造会社、台湾積体電路製造(TSMC)が進出し、巨大な半導体工場が立つ。この数年で農地の工業用地への転用が急速に進み、コメ作りから離れた人も少なくない。
コメ作り守る仕組み、効果は限定的
町の補助策は、コメの作付け…